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執筆者の写真Hiroaki Ehara

かけだし情報1216

畑情報



 白黒の画像ではわかりずらいかもしれませんが、

上の写真には小さな生き物が2匹写っています。ビニールハウスの中で生まれたばかりのカマキリの赤ちゃんです。大きさは約1センチ。この冬は暖かい日が多かったこともあり、少し早めに孵ったのかもしれません。大きく育てば害虫と呼ばれる虫たちをたくさん捕まえてくれるカマキリですが、まだ生まれたばかりの小さな生き物はたくさんの試練が待っています。

 昔の農家は、カマキリの卵の位置によってその年の積雪を予想したと言われています。近年の異常気象にも同じことが言えるかどうかはわかりませんが、雪が降る前に生まれてきたカマキリたちには頑張って大きく育ってほしいところです。

 1月は有機農業関連の研修や総会などがあり、出かける機会が増えています。先週末に参加した東京、世田谷の有機農家の映画会もそうですが、金曜日には埼玉県主催の有機農業研修会・情報交換会がありました。

埼玉県の農産物安全課というところが企画している研修会は年に数回の頻度で行われています。今回は桶川の文化ホールで行われ、午前中は土壌医の先生による土つくりの話。午後はどのような有機農産物が求められているかというテーマで、東京のクレヨンハウスでレストランに有機野菜を供給するなど、流通業者や飲食店が求める有機野菜についての講演がありました。また、千葉で平飼い養鶏2000羽や養蜂、遊休地の再生を兼ねた野菜生産などをしている方の事例発表と、盛りだくさんの内容でした。

 土つくりの話をされた土壌医の先生は、限られた時間で土の話、土つくりの話をするのは厳しいと言いながらも、途切れることなく土の話をされました。内容的に理解できないまま進んでしまう印象もありましたが、土つくりの大切さと土壌診断を適切にすることの必要性は感じました。

 土つくりは有機農業の中ではもっとも大切とされるところです。作物にとって良い土と言われるのは、

育てる作物によって多少は違いますが、土が肥沃であることが基本です。この肥沃な土は堆肥であったり、緑肥といってマメ科などの作物を土に戻すことで肥沃度を高める効果のあるものを使ったりすることで、土の腐植土が高まることが必要です。腐植が増えると微生物が増え、作物が養分を吸収することを助けます。

一方、化学肥料を使い続けると、土自体の肥沃度は

低下し、微生物も少なくなっていきます。化学肥料の成分によって作物自体は大きく生育しますが、肥沃度が少なくなっていくために、病気になりやすく、農薬による防除が不可欠になるのです。

 有機農業は堆肥を使っているから何の問題もない。とばかりも言えません。使う肥料によっては土のバランスが崩れてしまうこともあるからです。また、堆肥は良いからと毎年のように大量の堆肥を入れ続けると、使っている堆肥によっては作物への悪影響もでてきます。そこを見極めるのは経験も必要ですが、土を診断し、数値で確かめることも大切だ、ということを土壌医の先生は強調していました。

 午後の講演会で話された、求められる有機農産物については、飲食店や小売りなどでは、有機JAS認定のものが求められるものだ、という話題が出されました。有機農家からは、どのように育てているか、どんな思いで育てているかという手紙などをもらうことが多いが、そのことを店先や飲食店のお客様に伝えることは難しい。そこで、有機JASがあれば、農家の思いと同じことが伝えられるからだ、と言われました。

小売りなどでポップを使って説明をつけることはできますが、生産者がその場で説明をすることは難しいからです。

 有機農業も提携という顔の見える関係を重視する人、大手のスーパーや市場に出荷するのがメインな人など多様な取り組みが増えてきました。いろいろな人の話を聞き、多様な取り組みがあることを知る機会が増えるのは勉強になって面白いです。

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