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かけだし情報 1316

畑情報


 4月になり、春本番と思っていたら寒の戻りで寒い日が続くようになりました。冷たい風が吹いた日の翌朝は畑が霜で白くなるほどでした。そして冷たい雨。満開の桜は少し散るのが遅れそうです。

 4月の声を聞くと、そろそろ田んぼの準備に気持ちが向いていきます。まずは育苗用の土を細かくする作業を行い、種もみの温湯消毒、苗代の準備、田んぼの畔塗にレンゲやヘアリーベッチの刈り取りなどと続きます。

 今年は緑肥として育てているレンゲやヘアリーベッチが順調に生育しており、高騰している肥料の節約にもなりそうです。ただ、緑肥をハンマーモアと機械で細かく砕き耕しますが、緑肥が分解する過程で出てくるガスなどの対応が必要になってきます。

 畑であれば何度か耕耘することで分解も進み、ガスの影響も少ないのですが、田んぼにすると水を張ってしまうために、ガスが逃げ場を失います。そこに稲の苗を植え付けるとガスが湧くことで根が傷み、生育に影響が出てしまいます。

 そこで、このガスを食べてくれる光合成細菌を田んぼに入れることで、ガスの被害を抑えるという方法があります。過去にも何度も購入した光合成細菌を田んぼに入れましたが、値段を安く抑えるために自分のところで培養したものも使っていました。培養がうまくいけばよいのですが、あまり出来の良くないものを使うと効果は低いものでした。

 この光合成細菌は値段も安いものではないため、種菌を購入して培養するのが良いとされています。今年は、熊本の女性が立ち上げた企業が開発した「くまレッド」と呼ばれている光合成細菌の培養キットを買いました。光合成細菌を増やすためには餌となるものが必要です。去年は知り合いが行っていた胃薬を餌とする培養方法を試しましたが、効果が今一つでした。このくまレッドの餌のもとは焼酎の粕です。 


写真は2リットルのペットボトルに光合成細菌30cc、餌となる焼酎かすを20㏄入れ、そこに水道水をキャップのぎりぎりまで入れたものです。今回は試しの仕込みなので、少ない量でのトライです。菌が増えるには30度近い温度と太陽の光が必要です。温度は育苗用の電熱マットを使って適温を確保しています。あいにく雨や曇りの日がつづているために太陽の光が十分ではありませんが、このまま1週間ほど様子をみて、茶色い状態が赤くなってくれば培養成功です。 このペットボトルでの培養がうまくいけば、次は20リットルの水タンクを使ってさらに培養を続けます。最終的に20リットルのタンクを10~15ほど作る予定です。

土曜日の日本農業新聞に「スーパー・広がる有機推し」という大きな記事がでていました。農水省によると国内で有機農業に取り組む生産者は約2万戸で、面積は23500ha。国内の市場規模は1850億円で、国産シェアは役6割ほどとなっています。

有機食品の注目度は高まっているものの、国産の有機農産物の供給は限られ、流通業者には調達に苦戦しているといっています。大手のスーパーであるイオン、イトーヨーカ堂、東急ストアやライフなどは独自のプライベートブランドを立ち上げて、有機JAS認証の有機農産物の取り扱いを強化してきています。

このような動きに対応するように、海外の有機関連業者は日本の市場に対しての売り込みを強めているようです。圧倒的に少ない国産有機に変わって、大規模な生産体制をもっているインドやオーストラリアなどの生産者、加工業は有望な開拓地としての日本への進出を画策しています。

全国スーパーマーケット協会の話として「有機食品の導入は、少量で高品質の商品を求める高齢者のニーズと、SDGsに関心の高い若年層の台頭を見据えた動き」とでています。確かに、若い人たちの中でオーガニックに関する関心の高まりを感じることが増えてきています。また、みどりの戦略として国が掲げている政策が法制化されるなど、ここにきて急速に様々な動きが加速してきています。

ただ、この大きな変化に惑わされる危険性も考えないといけません。有機農家としての立ち位置を間違ってしまうと、何のための有機農業なのかがわからなくなってしまうからです。


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