畑情報
このところ気温の高い日が続いています。4月から5月頃にかけての気温と同じで、もうすぐにでもトマトやナスなどの夏野菜の苗を植えたくなってしまいます。一方で、この2か月ほど雨らしい雨が降っていません。2月には大雪の予報が出た日もありましたが、結局それほどの雪にもならず、降水量も多くはありませんでした。今週は雨予報が出ています。そろそろ雨が降らないと種を播くことができないので、恵の雨を期待しています。
それまで日中の気温は上がっても、朝の冷え込みで霜が降りることがありました。それが一気に暖かいを通り越して暑いくらいになったので、育苗中の野菜苗もびっくりしてしまったようです。それまでと同じように、電気マットで育苗をしていたピーマンやナスの苗が、昼前に様子を見に行くと、しなっとなっていました。この電気マットは設定した温度以上に上がると自動的に電気が切れるものなので、ものすごく暑くなることはなかったのですが、外気温が高すぎたために、苗が驚いてしまったようです。
すぐに苗が育っているセルトレイを外の日陰に出して様子をみました。すると、少しずつ苗も元気を回復してきたので、先日踏み込んだ、落ち葉を使った踏み込み温床へとトレイを移動させることにしました。この踏み込み温床は表面から5センチほどの深さで温度が30~40度になっていました。トレイを置き、強い日差しを遮るために、黒色の遮光ネットをかけました。ハウスの両サイドのビニールも巻き上げ、風の通りがよくなるようにしています。
一度種まきをし、育苗を始めると、その日の気温やお天気によって育苗中の苗への影響が変わっていきます。太陽がガンガンに照っている日と、曇っている日では温床の温度も違うので、その状況に応じて対応をする必要があります。昔から苗半作といわれ、苗がしっかり作れれば、その後の生育もよくなるということです。畑に植え付ける5月連休ごろまでは、苗にしっかりと向き合う日が続きます。
3月の終わりごろに予定されていたふたつのオーガニックマルシェがコロナのために中止になりました。野菜は少ない時期になるので、出せるものが限られてしまうのですが、対面での販売は直接話ができるのと、ほかの有機農家や自然食品を扱う人たちとも出会えるので、楽しみになっています。
このマルシェのように対面で販売するような場合は、特に有機JASを取っていなくても野菜や育て方の説明をすることで、こちらの農業を知ってもらうことができます。でも、直売場などでは有機であることを知ってもらうには、有機JASの認証を取るのがわかりやすい方法といえます。ですが、有機JAS認証には認証料金がかかるのがネックになっています。
前にも少し触れましたが、有機JASのような第三者認証と呼ばれる制度ではなく、PGSという参加型認証の取り組みが世界的に広がりを見せています。
このPGSとは、有機農業にかかわる当事者である農家や消費者、、流通関係者や行政の人などが互いに活動の実践を確認するという制度です。小規模農家が多い国での取り組みが多いようです。インドではPGSが国の制度として認められていて、PGSによる有機の面積は世界でトップとなっています。
世界的な有機農業団体であるIFOAM(国際有機農業運動連盟)は、創設50周年を迎え、2022年を
「有機年」有機認証として多くのイベントなどを準備しているそうです。このIFOAMがまとめた世界の有機農業2022年によると、世界の有機農業面積は2020年時点で7493万ヘクタールで、前の年よりも4.1%伸びているのです。有機農産物市場も13.8%増となって、約15兆円産業へと成長しているとしています。南米の伸びが最も大きく、ツウいてアフリカ、アジアとなっています。韓国でも20年の有機農業面積は前年比29.7%増となっていて、日本のような10年前からほとんど変わっていないところと比べると、有機農業の伸びの大きさがわかります。
ここにきて、ウクライナの戦争やコロナの影響で物流が滞り、輸入小麦や飼料、肥料などの価格が急騰しています。一方で、米の価格は下落して農家の生産意欲を失わせる状況です。このようなときこそ、地域内の資源を有効に使う有機農業の取り組みを増やす良い機会です。生産者と消費者、そして関係者が一緒に有機農業を考えていければと思います。
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