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かけだし情報1268

畑情報


 この週末は春を思わせるような暖かいお天気でした。ハウスの中で作業をしていると汗が吹き出し半袖でも暑いくらいでした。そしてハウスから一歩外に出ると流石に空気は冷たく、噴き出した汗が一気に冷えていきました。そういえば、明け方に今年初めての鶯の鳴き声を聞きました。まだたどたどしい感じの鳴き方でしたが、鳥も少し早い春を感じたのかもしれません。

 下の写真ですが、育苗ハウス内で育っている4種類の野菜の苗です。上の2枚はナス科の野菜、下の2枚はアブラナ科の野菜です。タネから芽を出し、双葉が出たばかりの時(上の写真)、双葉から本葉が展開しだした時(下の写真)くらいまでは、アブラナ科、ナス科、それぞれの仲間の野菜では見分けがつきません。もう少し成長してくると、それぞれの野菜に特徴的な葉の形ができてくるので、野菜の種類を見分けられるようになってきます。ちなみに、上の写真左はピーマン、右はトマト、下の写真左はキャベツ、右は青汁用のケールです。



 キャベツの種は直径が1~2ミリ、ピーマンは平べったり形をしていますが、5ミリほどの大きさです。その小さな種が芽を出し、根を土の中に伸ばしていきながら成長し、やがてトマトやピーマンはたくさんの実をつけ、キャベツは葉っぱ次々に大きくしながら結球していきます。この小さな種のどこにそんなエネルギーを蓄えているのかと、種を播く時期になると種の持つ不思議な力を感じます。

 昨年、種苗法が改正され、登録品種は自由に自家採種することができなくなりました。固定種と呼ばれる種は登録品種ではないものが多いので、自家採種に対する制限はありませんが、種どりの自由をある部分では制限されてしまいました。育成者の権利を守るというのが種苗法改正の建前ですが、種を支配することで農業ビジネスを支配しようとする動きが背景にあるとの疑念を多くの農民は感じています。

 自然界に当たり前にあると思われているものが、ある時からビジネスとなり、自由に使うことができず、使用料を払うようになる、ということが種以外でも出てきています。

 オンラインでの開催となった有機農業映画祭の作品で、水の支配者というものがあります。この映画は水ビジネスの世界を描いたドキュメンタリーです。水は自然にある存在ではなくなり、投資マネーの対象となり水を管理することが農業ビジネスの成否を分けることを描いています。

 地球上の水の97.5%は海水で、淡水は2.5%です。その淡水の8割が氷山、氷河、地下水で、地表面にあってすぐに使えるのは0.01%と言われています。また、地球の人口は2050年には90億になり、水の使用は現在の2.6倍になるという試算が出されています。

 人口の増加を支える食糧生産に水は欠かせません。しかし、現状でもアメリカのカリフォルニアのように地下水を大量に組み上げて行われる大規模農業により地下水の枯渇、砂漠化、また温暖化が影響していると考えられる干ばつや高温、森林火災などによって食糧の生産も厳しいところが増えてきています。

 映画ではオーストラリアの畜産農家が水を確保するために数百万の費用が必要となり、農場を閉めることになる様子や、ナッツを生産する大規模農場の水を管理する責任者が、水の価格相場をにらみながら少しでも安く水を買うことが農場の最大関心事であると話す様子が映し出されていました。

 「ダイヤモンドも自然が造り出したものであり、みな高くても買うでしょう。水も自然が作り出したもので、それを買うのはダイヤモンドと同じ」と水ビジネスを展開する男性が話していました。

 水、種・・私たちの命を支える大事な物であり、自然の恵みとして存在するものがビジネスとなって時、そのつけは社会の一番弱い部分を直撃します。そんな世界はどうなっていくのでしょうか?





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