畑情報
このところ暖かい日と寒い日が周期的にやってきます。4月頃の気温に心地よくなると、今度は冷たい北風が強く吹く真冬の寒さに逆戻りするなど気温の上下が激しい日々です。相変わらず乾燥も続いています。先週は市内の近場で火災が2件発生しました。別の竹やぶでも火災が起こるなど乾燥した状態が続いているために火災が発生しやすい状態が続いています。コロナ感染にも気をつけないといけませんが、火の元も十分に注意してください。
とはいえ、写真のように敷地内の梅は白い花を咲かせています。近づくと良い香りがしてきて、少しだけ早い春を感じています。もう少しするとフキノトウも顔を出してきます。これから一雨ごとに生き物が元気になってくる季節ですから、もう少し雨が降ってほしいところです。
先週は県主催のリモートによる研修がありました。GAP(ギャップ)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。東京オリンピックが開催されることになり、時々新聞などでも目にするようになったものです。
GAPとはGood Agriculural Practice の頭文字をとったもので、適正農業規範あるいは農業生産行程管理といわれるものです。
オリンピックで選手に提供される食材はリオ、ロンドンと基本的にはオーガニック食材とされていました。東京開催が決定してから日本でも有機の食材を提供するために有機農家や有機食材の流通会社などに、どのくらいの食材を集めることができるかの聞き取りなどが行われましたが、結果として国産の有機でオリンピックを賄うことは難しいとなり、そこでGAPの認定を取ったものを提供するという方向になりました。
GAPは農業において食品安全、環境保全、労働安全などを持続的に確保するための生産行程管理を実施するものです。わかりずらいですが、農家がこれまであまり意識していなかった労働環境や生産する際に使っている肥料、農薬、燃料などを適切に管理することで、経費の節約につながり、経営も改善され、結果、GAPを取得した農家の信用が高まり、取引の拡大、あるいは輸出につながることができます、というのがGAPのメリットと言われています。
食品の安全といっても有機農業というわけではなく、オーガニック食材の提供を求めていたオリンピックの流れからは違う方向に行ってしまった感じです。
GAPには段階があり埼玉県のものはS-GAPと呼ばれ、取得するための料金は無料です。その上?が、認証制度を取り入れた日本基準のJ-GAP, さらにアジアを視野に入れたAsia GAPがあります。そしてグローバルGAPと呼ばれる世界への輸出をする際には必要と言われるものまであります。認証の取得費用もそこそこかかるようで、比較的規模の大きな農家やお茶など輸出をお茶農家などはメリットがありそうです。
有機農家としてGAPを取る必要はあまり感じていなかったのですが、環境保全型農業に対する直接支払い制度を鴻巣市でも取り組んでもらえることになり、その制度を利用する条件としてGAPに取り組むという項目があるので、研修に参加したのです。
環境保全型農業直接支払いを受けるのにGAPを取得する必要はないようですが、取り組みは実施することが求められているので、埼玉県が実施しているS-GAPについて取り入れることができるようにしていこうかと考えています。
先週の研修では、熊谷農業高校と杉戸農業高校の高校生がGAPを取り入れた管理をしているとの紹介があり、高校生も会議に参加して発表をしてくれました。
発表した高校生の中には、卒業後に農業大学校へ進学し、そこでもGAPの取り組みをしていきたいと話す学生さんもいて、頼もしい感じでした。
農業の現場は工場とは異なる部分も多く、生産管理という言葉自体がなじみの少ないものです。ただ、考え方として取り入れることで、今まで見えていなかったものがわかり、農場や施設がきれいに整えられるようになることが農場の信用を高めるということは言えそうです。
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