畑情報
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
今年のお正月は例年よりも静かな日々でした。この冬はいつもよりも寒さが厳しいようで、鶏用のバケツの水が毎朝のように凍っています。時には何かで叩かないと割れないほど厚い氷になっていることもあります。畑も霜で真っ白になっていることが当たり前になってきています。依然として雨が降らない日が続き、畑の作物も乾燥に耐えていますが、南岸低気圧と寒波のタイミングが合うと大雪になるので、こんな乾いた日が続く年は心配です。
新年の始まりにあたり、日本の農業の現状を少し書きたいと思います。全国的にもそうですが、田んぼなどを作付けしている農家の年齢は高齢化が進んでいます。後継者のいない農家は現役である高齢者がやめてしまうと、その農地は遊休農地となってしまいます。そのため、地域で遊休農地を出さないために多面的機能支払という制度を活用したり、農業生産法人を設立して農地を守るということを進めています。ただ、それですべての農地が管理できるということはなく、宅地周りなどの小さなところは大規模化には向かないために耕し手がいないということになります。
実際に地域を歩いているとところどころに耕していない農地が目立つようになっています。一方で、コロナの影響もあるのか、自分で食べるものを作りたいと考えたり、農業を始めたいと思う人は増えています。日本農業新聞の論説でも、多様な人材で支えあうことが必要としています。以下、その論説から抜粋したものです。
農業経営を支える4つの力として、労働力、技術力、商品力、販売力をあげていますが、その根幹である労働力の不足が農業の持続性を危うくしているのです。
この50年で日本の農業人口は7分の1に減り、農地面積も4分の3に減少しています。65歳以上の割合は7割となり、49歳以下の新規就農者は2万人以下となっているのが現状です。大規模な農業法人も労働力不足から面積拡大にブレーキがかかり、コロナの感染拡大により外国の技能実習生の受け入れも停滞するなど、農業の現場は厳しい状況です。
これも日本農業新聞の記事ですが、食の分野に最先端技術を取り込んだ「フードテック」と呼ばれる分野に関心が高まっているようです。例えば、肉代替食品のような食品に限らず、栄養素や香料などを材料に食べ物を出力する「3Dフードプリンター」、調理ロボット、食事や健康の情報を人工知能で解析して最適な食事を提案する「AI食」などです。日本は世界に比べると遅れている分野とのことで、アメリカなどは2兆円を超える投資をし、中国やインドも大きな投資をしている成長分野とのことです。
2050年の世界人口は97億となり、現在よりも20億の増加が予想されています。食糧をいかに確保するかが食糧安全保障の面からも重要な課題とされています。農業人口も面積も減少を続け、さらに自給率も低い日本にとっては、食糧の持続的な生産は大きな課題のままとなっています。
日本のフードテック研究として紹介されているものに「昆虫飼料」があげられています。食品工場で出される調理くずなどをエサにしてミズアブを飼育し、ミズアブの食べ残しと排泄物は堆肥に、成長してい大きく育った幼虫は鶏などの餌にするというものです。
また、遺伝子操作をしたゲノム編集のスマート育種と呼ばれる技術は、国内で初めてゲノム編集食品として届け出されたトマトなど、すでに現実化されたものもでてきています。食品残渣から食品を作る3Dプリンターや土壌微生物を利用した食糧生産などの研究も始まっています。
日本の農業を支える労働力が減少する中で、フードテックへの期待は高まっているようですが、ゲノム編集など安全性に疑問のある技術に頼ることに対してはもろ手を挙げて賛成とはいえません。では、どうするのか? すぐに明確な答えは出ませんが、農業を支える人材を増やすことが必要だと思います。
何度か書きましたが、専業農家だけでなく、半農半Xという形態や、家庭菜園、オーナー制など農業に関る人たちが増えることで新しい動きが生まれてくるかもしれません。特に有機農業に関心のある人たちが自分で農業を始めたり、農地のオーナーとなって農家や農地を支えるなど、小さな取り組みが各地に増えていくことで農業を支えることが大切です。
ガバレでも今年は有機農学校の取り組みを始める予定です。早い時点でまた皆さんに内容を紹介したいと思います。
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