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執筆者の写真Hiroaki Ehara

かけだし情報1260

畑情報


 今年も残すところ10日余りとなりました。コロナの感染拡大の影響で、中止や休業になったものも多く、生活への影響も大きい一年でした。コロナ感染は今も拡大傾向が続いており、まだまだ収束が見えない状況です。拡大、縮小を繰り返しながら数年単位でコロナと付き合う覚悟がいるかもしれません。

 ウイルスは人だけでなく、鳥にも感染が広がっています。鳥はインフルエンザの勢いは止まらず、四国や九州などで29例の発生がでています。全国一斉の農場管理状況の点検が行われ、鶏舎周りの予防処置として消石灰が配られるなどの対応がされています。うちの鶏小屋周辺も衛生管理区域として人の立ち入りを制限し、鶏舎周りには消石灰を散布しています。この衛生管理区域に入るときは長靴を変え、鶏舎に入る時にも石灰の消毒をしてから入るようにしています。

 ウイルス以外でも今年は農業にとっては大変な年でした。温暖化の影響と思われる異常気象は年々激しさを増しています。7月の梅雨時期は本当に毎日のように雨が降り、梅雨明け後は一気に猛暑が襲い、9月からはまた長雨になりました。お米は穂が実らない不稔という現象が発生した田んぼもありました。中干が上手くできず、田んぼを乾かすために水を入れるのを遅らせたのが原因のひとつです。

 雨が続いたことで稲自体も弱い生育となり、雨が続いたことでいもち病がでたり、猛暑が続いたために構音障害がでたりと、稲にとっては厳しい環境の変化が続いたままでした。そんな状況に追い打ちをかけるように西日本ではウンカが大発生し、田んぼの一部、あるいはほぼ全部が被害を受けて収穫ができなかったこともありました。

 虫の害はアフリカや南アジアでも深刻で、アフリカで発生したサバクトビバッタはインドへと飛来し作物を食べつくしてしまったところも多く、食糧不足が深刻になっています。

 異常気象の頻発によるところが原因と言われていますが、農業の近代化、効率化を掲げ、化学肥料や農薬を大量に使用するやり方も生態系を壊した一因です。生態系が壊れることでバッタの大発生を抑える仕組みが機能しなくったのだと思います。

 2017年に国連で家族農業の10年が定めらあした。世界の農業の9割は家族農業による経営で、その生産量は食糧供給の8割となっています。家族による小規模の農業が無くなることは食糧の供給にも大きな影響がでてきます。そのため、家族農業を支援する政策を進めることが世界の農業政策でも重要なものとなっています。

 一方、日本の農業政策は世界とは逆行しているところが多いのが現状です。農家の高齢化も背景にはありますが、農地を企業が取得できるようにし、法人化による大規模経営を推進するような政策が主流です。家族経営、小規模農家は農業経営的には古いやり方で、儲からない農業と考えているからです。他にも世界の逆行している政策はあります。欧州では禁止となっているネオニコチノイド系の農薬などの使用禁止には向かわず、遺伝子を操作しているゲノム編集された野菜なども積極的に導入していく方向です。

 なんだかマイナスの事ばかりが目立った年のようになりましたが、明るいプラスの材料も見えてきた年でもあったと思います。

 それは若い人などが農業や食について今まで以上の関心を持ち始めたことです。今までのように会社に出社せずともリモートで仕事を進めることができるようになり、東京にいる必要性が少なくなったこともあるのでしょう。また、生き物の本能として、食に関る必要を感じていると指摘している人もいます。東京などの都市から離れ、田舎に住み、農業と仕事を両立させている人も増えてきているようです。

 ただ、受け入れる側の農村や農家の意識がそれに追い付いていないところもある気がします。両者をうまく結びつけられるようなコーディネートをする人の存在が鍵になるかもしれません。ガバレ農場としてもそのような存在になれるような一年に来年はしていきたいと考えています。

来年もまたよろしくお願いします。

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