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  • 執筆者の写真Hiroaki Ehara

かけだし情報1254

畑情報


  秋の深まりを感じるようになったと思ったら、もう立冬を迎えていました。木々も赤や黄色に色づき始めました。日暮れも早く、一日がとても短く感じる季節です。

 先週の土曜日、武蔵浦和駅にあるマーレというショッピングモールで開催されたオーガニックマーケットに出店してきました。これが5回目となるマーケットですが、マーレ内にあるオーガニックガーデンという自然食や有機農産物を販売しているお店から声をかけて頂いています。今回はコロナの影響もあり、出店している農家などは通常の半分以下に抑えていて、有機農家、パンやさん、出汁や蜂蜜などを販売するお店、お弁当屋さんなどが来ていました。

 私たちが持って行ったのは合鴨農法のお米、合鴨農法で育てたもち米で作った玄米餅、餅、そして卵とお野菜を少し。さらにポットにリーフレタスや小松菜、水菜の小さな苗を植えたものも準備しました。

 苗を持って行ったのは、2回ほど前に参加した時に種の話をする時間をとってもらい、その場でポットに種まきをして参加した人に持ち帰ってもらったことがあったからです。部屋の中で日の当たる暖かいところにおいておけば、野菜の成長も観察でき、大きくなってきたら葉っぱをちぎってサラダにもできるから受けるのでは、と考えました。

 しかし、マーケットに来る方は野菜などをいっぱい買われていて、ポットを持ち帰る余裕のないことがわかりました。また、前回と比べると子供連れの家族が少ない感じがあり、興味を示す人も少なかったかもしれません。

 そのマーケットで、私たちの前のブースに出店していた有機農家は、オーストラリアのカボチャを持ってきていました。直径が30センチほどある大きなカボチャは人目を引くものでした。その農家によると皮が薄く、とても美味しいとのことでしたが、持たせてもらうとずっしりと重く、気楽に買って帰れるようなものではありませんでした。

 有機農家によってはマルシェなどに何度も出店している方もいて、展示の仕方、野菜の包装の仕方などとてもきれいでおしゃれでした。年に2回ほど開催されるオーガニックマーケットですが、参加するたびに出会いもあり、他の人の生産物も見ることができ、刺激を受ける場所になっています。

 さて、農家にとってとても大切なもののひとつが種です。米にしろ、野菜にしろ、種を播かないことには作物として育つことはありません。種の善し悪しが生育を左右することもあり、良い種を選ぶのは農家によっては技術のひとつとなっています。

 実はその種が大変なことになっています。あまりニュースなどにはならないのですが、農家によっては死活問題となる重要な問題です。

 2018年に種子法が廃止になりました。種子法は、国が責任をもって良い種(米・麦・大豆)を提供することを定めたものです。国がお金を出し、県などがそれぞれに良い品種を作り出し、それを安価に農家に提供するというものです。ところが、国は民間の参入を促進するためにこの種子法を廃止にしました。その後、多くの件が独自に新たに種子法を定めて、農家に安価な種子の提供を続けることを継続しています。

 そして種子法廃止に続くものが種苗法の改正です。

もしかするとブドウの品種であるシャインマスカットが海外で育成されている、というニュースを聞いたことがあるかもしれません。ブドウなどは枝を切り、それを挿し木にするだけで苗を大量に作り出すことができます。日本で開発されたこのブドウ苗が海外に持ち出され、勝手に増殖されていたのです。

 ブドウの品種を作り出すには手間もお金もかかります。そしてやっと作り出したものが勝手に増殖されてしまうと、創り出した人は損をしてしまいます。それを防ぐために法律を改正するというのが今回の改正の目的です。

 ただ問題なのは、品種登録されたものを農家が自家採種することができなくなることです。特に大規模に同じものを育てている農家にとっては毎年許諾料を払って苗を自分で増やすか、あるいは高いお金を払って購入するしかなくなります。たとえば、イチゴ農家。良いイチゴを選んでランナーと呼ばれる苗の赤ちゃんを増やしていき、翌年の苗にしています。これができなくなると、イチゴを販売するのと同じくらいの苗代が必要になってしまいます。

 有機農家でも自家採種している人はたくさんいます。品種によって登録されていないものもあり、問題はないと言われていますが、突然だめになる可能性もあるのです。種を制するものは世界を制す、と言われ、制する者はどうやら多国籍企業のようです。

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