畑情報
先週までの猛暑が落ち着き、体にもちょうど良い陽気になってきました。秋雨前線の影響で曇りがちや雨の降る時間が多い日が続きますが、天気予報を見ながら畑や田んぼの作業を進めています。
この時期、知り合いの有機農家から届くのFacebookでは稲刈りの話題が増えてきました。種まきから始まり、育苗、代掻き、田植え、水管理など、日々田んぼや稲と向き合っているだけに、稲刈りは総仕上げの作業です。有機農業で稲作をしている農家は、品種も様々です。コシヒカリを育てている人も多いですが、販売に直結するので、黒米などの古代米を複数品種栽培し、それを混ぜて販売する農家もいます。また、米から酒を仕込み、有機のお酒として酒蔵と提携して米作りをしている農家もいます。もちろん、毎日の食卓にのぼる主食のお米も育てています。
羽生の知り合いのところでお会いした栃木県の農家の方は、日本各地から様々な品種のお米を集めて、毎年500品種ほどを少しずつ育てながら種を取っています。また、複数の古代米を一つの田んぼに植えて、田んぼそのものがブレンド米になっているところもあるそうです。まさに、多様性のある田んぼとなっているのだと思います。
さて、ガバレの田んぼも今週から少しずつ稲刈りを始めます。早生のキヌヒカリ、続いて彩のきずな、彩のかがやき、大地の風と間隔をあけてとなりますが、10月の半ばごろまで稲刈りをしていきます。今年から栽培の方法を変えた田んぼもあるので、収量は気になりますが、試行錯誤をしながらおいしいお米をお届けできればと考えています。
去年までは合鴨農法の田んぼと有機の田んぼ以外は、慣行栽培として他の農家と同じようにお米つくりをしていました。それを今年は、有機・合鴨以外の田んぼは埼玉県の特別栽培米の基準をクリアするように育てています。 (去年までも使用した農薬は田植え時の除草剤のみで、減農薬のお米でした。)
慣行栽培では化学肥料が中心となり、稲刈り時に裁断した藁が有機物として田んぼに還元されているとはいっても、徐々に土の力が弱くなっている印象を受けていました。稲の株を持った時、手が切れそうな力強さが年々減ってきているような感じです。
そこで、今年は代掻きの前に発酵鶏糞を入れました。
本当はうちの鶏糞を使いたいところですが、田んぼ全部に散布するほどの量がないこともあって、購入したものを使いました。そして元肥は有機100%の肥料で、こちらも購入したものです。田植えと同時に2成分からなる除草剤を使いましたが、通常、農家が使用する苗箱への殺虫剤、生育期間中の殺虫剤は使っていません。穂が出る前に与える穂肥では、田んぼによって有機のものと、化学肥料を使い分けました。化学肥料はこれだけで、生育中の窒素成分としては通常の50%以下となっています。
今年、特別栽培米としてお米屋さんを通して埼玉県に申請したのは50aのみでしたが、来年は環境保全型農業直接支払いという制度を鴻巣市でも始めてもらえることになり、申請にあたっては有機か特別栽培となっているので、全部の田んぼで申請する予定です。
さて、稲刈りもこれからなのに来年の事を考えるのも早いのですが、来年は田んぼに緑肥としてレンゲを育ててみようと思っています。家の前の合鴨の田んぼではここしばらくヘアリーベッチという緑肥を元肥として使っていますが、長く続けていることもあり、今年は生育障害が部分的に出てしまいました。
ヘアリーベッチを取り入れる前はレンゲを田んぼで育て、春にはレンゲコンサートなどを開催してこともあります。ただ、10年ほど前からレンゲを食害するアルファルファタコゾウムシという害虫の被害がひどく、花や葉っぱも食べつくされてしまうようになりました。そのため、レンゲからヘアリーベッチに切り替えたのです。
ただ、レンゲは蜜源として貴重なもので、地域での養蜂をしている人がいて、レンゲを育ててくれる農家を探しているところでした。最近は天候や農薬の影響でミツバチが集める蜜自体が少なくなっていたり、花が蜜をつけないこともあるそうで、養蜂家にとっては深刻な事態となっているようです。地域で養蜂をしている人の蜂蜜はとても美味しく、レンゲを育てることで少しでも蜜が多く集まるようになればと思います。
レンゲにしても今までは当たり前にあったものが徐々に姿を消し、貴重なものとなることが増えている気がします。ここ最近は13分に一つの種が絶滅していると言われています。人間を含めた生態系を作る上で不必要なものはないはずです。
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