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執筆者の写真Hiroaki Ehara

かけだし情報1240

畑情報


 長かった梅雨が明け、真夏の太陽がやってきました。例年、梅雨明け10日は天気が安定し、この辺では気温が35度を超える日が10日続くのが普通となっています。でも今年は少し様子が違い、梅雨明けした後も雲が出たり、明け方は涼しい風がふていたりします。

7月はほとんど毎日のように雨が降る時間があって、乾いたかなと思ったらすぐにまた水が溜まってしまうの繰り返しでした。7月中にやっておくべき作業ができていないので、今年の8月、特にお盆前までに済ませておく作業がたくさん残っています。

 地域の田んぼでは5月の連休中に田植えをしているところでは穂が出そろっています。9月に入るとすぐに稲刈りも始まりそうです。本来であれば7月の土用のころまでに田んぼから水を抜き、中干しをするのですが、生憎の雨ばかりの天気で、ほとんど中干しをすることができないまま、穂が出る時期を迎えてしまいます。稲は穂が出る時期の前後20日ほどは水をとても必要とします。籾に栄養を届けるために水をどんどん吸収するのです。そして、穂が出る前には籾がしっかりと育つように追肥をします。穂肥と呼ばれるものです。最近では田植え前、あるいは田植えと同時に一発肥料と呼ばれるものを散布する農家が多く、途中での追肥はあまりしていないかもしれません。

 この一発肥料は、粒状の肥料がプラスチックでコーティングされており、そのコーティングが時間によってとけるようになっているため、必要な肥料が必要な時期に田んぼに溶け出すという仕組みの肥料です。暑いなかでの追肥作業は大変なので、労力の節約にもなります。うちも、慣行の田んぼには去年まで一発肥料を使っていました。ただ、このプラスチックはにマイクロプラスチックとなり田んぼに蓄積されたり、水路を通して海へと流れ出すので、環境の面からは使いたくはないものでした。そのこともあり、今年からは最初の肥料は発酵鶏糞と有機100%を使い、追肥には、稲の種類によって有機100%のものと、化学肥料を使い分けるようにしています。

 いつもなら中干しをした田んぼの土は固めになっているので、田んぼの中を歩くのもそれほど苦になりません。しかし、今年はずっと雨が降っていたために田んぼは柔らかくて、歩くのが大変でした。まだ水があったほうが歩きやすいのですが、水もなく柔らかい土は長靴が抜けなくなるほどで、そこを歩くだけでも体力を消耗します。若い時ならまだしも、さすがに体力勝負の年ではないので、機械に頼ることにしました。

ホームセンターに行くと、思っていたよりも安価なものがあり、購入することにしました。粒状の肥料を散布するエンジン付きの背負い散布機(通称、動散)です。エンジンをかけ、スロットルを全開にし、1mほどのホースから肥料が飛び出します。半径2~3mほどは散布できるので、手で撒くよりも圧倒的に楽でした。それでも柔らかい田んぼの中を1往復すると息が上がってしまい、終わった後は足がふらふら状態でした。

 さて、下の写真はサンショウモと呼ばれる浮草です。先日、廃鶏を取りに来た友人が田んぼを見ていて、このサンショウモは埼玉県の絶滅危惧種ですよ。と教えてくれました。葉の形が山椒の葉とよく似ていることからサンショウモと呼ばれるようで、以前はどこの田んぼにもある普通の浮草でした。それが農薬の感受性が強いことなどから徐々に田んぼから姿を消していき、今では田んぼでほとんど見かけることはないそうです。そのサンショウモが合鴨を入れている田んぼではたくさんあり、とても絶滅危惧種とは思えないほどです。「さすがガバレ農場は都会のオアシスですね」とお褒めの言葉を頂きましたが、自然の再生力は半端ないということでしょう。少しだけ気を付けて、それを継続していけば自然の回復力は想像以上に強いと感じます。

 太陽が出て数日すると畑での作業もできるようになりました。人参の種まき、草刈りと急ピッチで作業の遅れを取り戻しています。

サンショウモ


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