畑情報
今日は冷たい雨が降り続いた一日でした。山のほうでは雪になっているところもあるようで、季節が少し逆戻りした感じです。
まだコロナ感染拡大が続き、不安な日々が生活に影を落としています。大きな災害が起こると、被災した人たちは一様に、普通の暮らしのありがたさを語っています。嫌なことも楽しいこともひっくるめて、普通の暮らしや人とのつながりが必要であることを感じます。まだコロナ後について想像をするような余裕はありませんが、何が必要で、何が問題なのかを考え始める時期に来ているのかもしれません。
今年の米つくりが少しずつ始まります。まずは苗を育てる苗代を準備するところからです。苗代は家の前にある一番面積の小さな田んぼを使います。ここに種を播いた苗箱を並べ約ひと月ほど苗を育てます。
苗を育てるにはまず種を播くための土を準備するのですが、今年は土を頼むのが少し遅くなってしまい、まだ届いていません。この土は山の自然土を運んできてもらいます。4月に入ってから雨が続いているために、なかなか土が乾かないようで、持ってくるのに時間がかかっているようです。
この自然土にひと月分の苗を育てるのに必要な成分の入った自然育苗養分という肥料を混ぜたものが育苗用の培土になります。自然土とこの肥料を混ぜる作業は種まきの当日か前日に行います。あまり早く混ぜてしまうと養分に含まれている菌が発酵し、種まき時に播く水をはじいてしまうからです。
種を播いた苗箱を並べるのが苗代です。この苗代はいろいろなタイプがあります。昔、手植えをしていた頃は種を直接苗代に播き、大きな苗に育てていました。私たちが有機農業を始めて数年間は、隣のお年寄りに直播による苗つくりの方法を教えてもらい、昔のように大きく育てた苗を田んぼに植えていました。もちろん、イベントで手植えをする田んぼだけの分を育てていて、機械植えは別に苗箱に種を播いていましたが。
この直播による苗代では種を播いて芽が出てから、水を入れるタイミングが難しいところがありました。また、田植えをするために苗取りをしますが、慣れないと根をちぎってしったり、苗を強く握り過ぎて茎が曲がってしまったりと大変でした。
また、寒い地方ではビニールハウスを利用しての苗つくりが行われます。春先は、寒暖の差が大きいため、ハウス内も太陽が出ると一気に高温になり、曇ると急に寒くなるなど、気温の変化に対する対応が大変と聞きました。そこで、プール育苗と言い、ハウス内に水を溜める囲いを作り,底はビニールを敷いて水をためてプールのような状況を作り育苗する方法をする農家が多いようです。水があることで温度の変化に対応でき、病気も出なくなる効果があるとのことです。
埼玉県でも早い地域では5月に連休に田植えを終えてしまうところがあります。その地域では、田んぼを耕し、種まきをして育苗し、田んぼに水を入れて代掻きをしてと、今からが多忙な時期になります。
うちでは種まきは毎年5月の3日前後でしたが、今年は1週間ほど遅らせる予定です。ここしばらく、夏の猛暑によって稲の品質が良くないものがでています。ところが、種まきを遅らせ、田植えを6月10日頃から始めた農家のお米はとても良い品質を保っているとお米屋さんに言われたからです。わずか1週間ほどの違いですが、それだけで良いお米と品質が劣るお米になってしまう確率が高くなってきているようです。
うちで育てているお米のうち、合鴨を含めて有機で育てているのは約半分で、他は慣行です。去年からおじいちゃんが作業を引退し、すべての米つくりを自分たちで担うことになったのですが、一気にすべてを有機にすることはできませんでした。、、他の作業との関係で、除草の手間を全部にかけることができないので、去年は田植えの時に除草剤を一度だけ散布し、草の出たところは手押し除草機をかけました。ただ、このところ、猛暑の影響もあってか慣行栽培の稲の生育に力強さを感じなくなっています。刈り取った稲わらは全量田んぼに戻していますが、化学肥料を続けていた田んぼなので、微生物の働きが弱いのかもしれません。そこで、今年は、発酵鶏糞と、有機100%の肥料を使ってみることにしています。すぐに効果が出ることはないですが、ヘアリーベッチなどの緑肥も取り入れながらもう一度土つくりをし直そうと思います。本当は除草剤も使わないでやりたいのですが、夏野菜の植え付けや管理と時期が重なることもあり、肥料だけは化学肥料を使わずに育ててみようと思っています。
コロナ拡大による不安を抱えながらでも、米つくりが始まると生活の中心が米つくりに向かうのが農家の習性のようです。
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