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かけだし情報1223

  • 執筆者の写真: Hiroaki Ehara
    Hiroaki Ehara
  • 2020年4月11日
  • 読了時間: 4分

畑情報


  中国で始まった新型コロナウイルスの拡大がとまりません。感染者の多い地域は中国からヨーロッパに移り、人や物の移動にも制限が出されています。情報だけはこれまで以上に世界中をものすごい勢いで飛び回っています。経済の停滞、株価急落など、ウイルスの感染とともに不安な状況が広がっているなかで迎える春は、今までとは違うものになりそうです。

 とはいえ、桜の開花や堤防に咲く黄色のアブラナ科の花は春がやってきていることを感じます。先日の朝、今年初めての鶯の声を聞きました。周期的に雨が降るのも春先の特徴です。まだ寒気の影響で冷え込む朝もありますが、空を眺め、花の咲く様子を見ながら散歩するのに気持ちの良い季節です。こんな時こそ、周りの景色をゆっくりと眺めて、気持ちを元気にしたいものです。

 16日の月曜日、羽生の雨読晴耕村舎を会場にして、関東たねとりくらぶ主催の種苗交換会が開かれました。雨読晴耕村舎は、後藤さんという方が有機農業をしているところです。後藤さんはガバレの納屋の設計などもしてくれた建築士さんでもあります。

 午前10時から後藤さんがしている不耕起の田んぼや畑の見学をして、午後から種の交換会となりました。後藤さんのご自宅は大きな古民家を改修したところで、木々に囲まれた敷地内には山羊がいます。ちょうど1週間前に生まれたばかりという子ヤギが2頭いて、その可愛さにほっこりとして気分になりました。

 今回の種の交換会に参加したのは、埼玉や千葉、栃木、神奈川などから30名ほどで、ほとんどの人が有機農業や自然農をしている人でした。

 有機農業にとって種はとても大切なものです。有機JASでも基本的に使ってよいとされるのは、有機の種です。有機の種とは、農薬も化学肥料も使わずに育てた野菜やお米などから種をとったものです。ヨーロッパなどでは有機の種が広く出回っていますが、日本では種類も量も圧倒的に少ないのが現状です。そのため、有機JASでも、有機の種が手に入らない場合は、一般の種を使っても良い、ということになっているのです。

 一般的に野菜でもお米でも種は買うものという認識が農家の中にはあります。そして、種を支配することは農業を支配することにつながると言われ、世界の大きな製薬会社などが種苗会社を買収して、種の独占化を狙っていると言われます。作物を作るには、まず種を播くところから始まります。その種を毎年農民が購入するだけでも、莫大なお金を得ることができるのです。

 一方で、日本でも昔から代々種を取り続けている農家も存在します。その種はその地域の気候や土に適応し、だんだんと良い収穫が得られるようになっていきます。ただ、購入した種と違い、形にばらつきがあったり、生育が均一でない場合も出てきます。一般的な農家の場合、ある特定の作物を栽培し、一斉に収穫して市場に出荷するのが基本です。その場合は、収穫が同時であることが必要ですから、交配種と呼ばれる種(毎年購入する必要がある)を使うことになります。

 でも、有機では、生育が均一でなくても、収穫にばらつきがあっても大丈夫という農家が多くいます。その農家は、種もできるだけ自分で採取し、その土地に適合していく種を取り続けることをしています。ただ、ひとつの農家が自家採種できる種類は限度がありますから、お互いが持っている種を交換し、多様な種を育てようというのが、今回の種の交換会の趣旨です。

 種をとるのは少しばかり時間と労力、知識が必要になってきます。稲のように隣に別の品種を植えていても種が混じらないものもありますが、野菜などは多くの場合で、違う品種のものがあると交雑してしまう危険がともないます。種をとり、それを翌年に育ててみらた、全く違う形状のものになっていた、ということも考えられるのです。

 今回の種の交換会では、ガバレからはまくわ瓜、ルッコラ、そしてアフリカのルワンダの唐辛子の種を持って行きました。会場に集まった他の農家は、大豆やスイカ、サトイモ、さつまいも、メロン、キュウリやトマト、そして挿し木用のブドウなどたくさんの品種の種や種イモが出されていました。

 交換会が始まると、それぞれの種についての説明をし、まず種を持参した人たちが、自分が欲しい種を取っていきます。その後、種を持参しなかった人たちがカンパ代を払い、種を取っていくというシステムで交換会がすすみました。ほしいと思っていたブドウの挿し木、山芋やサトイモ、そして種どりが大変なアブラナ科のチンゲン菜など15品種ほどの種を持ち帰りました。この種を来年に向けて自家採種できるように、これまでのように途中で種とりをあきらめないようにしっかりと育てたいと思います。

 
 
 

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