かけだし情報1198
- Hiroaki Ehara
- 2019年10月24日
- 読了時間: 4分
10月
畑情報
先週の土曜日、日本有機農業研究会の主催する夏のシンポジウムというイベントに参加してきました。
「警告あり!農薬の健康への影響」というテーマで、日本消費者連盟・反原発運動・遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンなど、多くの環境問題に関する情報発信を続けてこられた安田節子さん、群馬県選出国会議員で5月に体内残留農薬検査プロジェクト「デトックス・プロジェクト・ジャパン」に参加した堀越啓仁さん、元薬害エイズ被害者で国会議員の川田龍平さんと「地球を脅かす化学物質:発達障害やアレルギー急増の原因」という著書の作者である木村・黒田純子さんのお話を聞きました。
除草剤や殺虫剤に関する世界の最新の動向とその危険性について、5時間にわたる講義でした。
除草剤に使われているグリホサートは、アメリカ・ドイツのバイエル(モンサント)という会社が販売しているもの(商品名:ラウンドアップ)です。国際がん研究所は2015年に人に対して発がん性があることを警告しており、世界中で規制が進んでいます。フランスをはじめとするヨーロッパ各国では、販売禁止や家庭での使用禁止となっています。
2018年8月には、アメリカにおいて悪性リンパ腫に罹患した男性(学校の用務員)が、病気の原因はバイエル・モンサントが販売した除草剤によるものとの訴えを起こし、勝訴しています(賠償金8000万ドル)。その後も同様な訴訟は世界各地で起こっていて、現在、世界中で健康に関する1万数千件にも及ぶ裁判が待ち構えているといわれています。
アメリカニューヨーク州やフランスでは、グリホサートを主成分とする商品を「安全な農薬」とCMすることを禁止しています。
北米では収穫作業を容易にするために、収穫前に除草剤を散布しています。2013年以降、米国産とカナダ産の小麦では検査した90~100%からグリホサートを検出しています。
日本のスーパーなどで売られている輸入小麦使用のパンでは、すべての検体からグリホサートが検出されました。今年7月には国際産婦人科学会がグリホサートの世界的廃止を呼び掛けています。グリホサート(殺虫剤の原料)を製品(ラウンドアップ)にするためには、他にもたくさんの助剤や添加物が配合されます。この添加物にグリホサート本体よりも毒性の強い物質が使用されていて、グリホサート単体よりも毒性が高くなっていることが報告されています。毒性試験は原料のみに課せられているので、助剤や添加物の毒性に関しては、考慮されていません。原料だけで、一日の許容摂取量(人が生涯にわたり毎日摂取し続けても有害作用を示さない一日当たりの摂取量)が決められていますから、それよりも毒性の高い物質を一緒に含む場合、この摂取量はあてにならないことがわかります。しかも、体内で複合的にどういう影響があるかは、テストされていないわけです。
ところが、日本では「ラウンドアップマックスロード(家庭園芸菜園用除草剤)」として販売されており、「根まで枯らす確実な除草効果と土への安全性」を宣伝していて、警告表示もありません。世界中で拒否された商品が雪崩のように日本に入ってきています。
農水省は106種類のグリホサート製剤を登録許可し、2017年残留規制を大幅に緩和した上に一挙に10種類も新規登録しました。小麦の残留基準は5ppmから30ppmへと6倍、そばとライ麦は0.2ppmから30ppmと150倍になっています。輸出国アメリカの遺伝子組み換え作物とプレハーベスト作物を受け入れるためです。
私自身、数年前から、ホームセンターや100均でもやたらと山積みされた除草剤を見かけるようになりました。それまでは、いかにも薬品然としたパッケージで、読まなくてもこれは取り扱いが難しそうという印象だったものが、かわいい害虫や花などのイラストをあしらったものに変わり、心理的なハードルが随分と下げられていると感じていました。
国会議員28人が自分の毛髪を分析した結果、7割(19人)の方からグリホサートが検出されたとのこと。でも、ずっと有機野菜やお米を食べていた方からは、検出されなかったということです。フランスでも農薬の法整備が進んだのは、国会議員が自らの毛髪検査をして、農薬が検出されたことに危機感を覚えた結果だということなので、日本も遅ればせながら、そういった方向に進んでいくといいと思います。
ネオニコ及び環境ホルモンに関してはまたの機会に。
※今年の稲刈りイベントは10月13日(日)です。
午前9:30開始。会費1500円昼食込みです。皆さんの参加お待ちしています。
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