畑情報
先週はみぞれが降るなど、季節が一気に冬へと逆戻りしたような寒い日がありました。家の桜は一本は満開、もう一本は葉桜となり、花びらが風に吹かれて舞っています。近くの元荒川も桜の花びらでピンク色になっています。ひとつの大きなイベントが終わったような感じもありますが、よく見ると木々は新芽が芽吹き、淡い緑色が目立つようになっています。多くの命が輝き始める季節になってきました。
夏野菜を植えるための準備として、畑をトラクターで耕しています。雨の少ないときに一度耕したのですが、土が固いままだったので、大きな塊ができているところが多くありました。今回は、少しお湿りがあったので、大きな塊もだいぶ細かくはなりました。でも、場所によっては塊が多いところもあるので、定植までにもう1回くらいは耕す必要がありそうです。
畑を耕していると、必ずといっていいほどカラスが寄ってきます。土の中から出てくる虫を目当てに来ているのですが、追い払っても逃げる気配がありません。
それどころか、捕まえたバッタなどをわざわざこちらに見せに来るのです。捕まえたらその場で食べればよいものを、なんで?と思います。野菜の葉っぱを食べる害虫を捕まえてあげたよ!! ということなのでしょうか? それとももっと食べ物を頂戴というおねだりなのかもしれません。たぶん同じカラスだと思われるのですが、もしかすると同志と思っているのかもしれません。
畑を耕していると土の中からはいろいろな生き物が出てきます。目に見えるものではカエルやバッタ、ミミズ、蝶や蛾なども草の中から飛んできます。畑の生態系の中ではカラスが捕食者としての頂点にいる感じです。一方で、目に見えない生き物もたくさんいるはずです。
土の豊かさを測る指標として、以前は窒素やリンなどがどのくらい含まれているかが目安となりました。今でも土の検査をすると、窒素がどのくらい、微量要素と言われるものがどのくらい、という数値で示されます。その数値を見て、足りないものを足してあげることで、土の栄養バランスが保たれて、作物が健全に育つと考えられています。
しかし、土の中にある窒素や微量要素だけで土が豊かかどうかを判断するのは片手落ちだ、という考え方が示されてきました。豊かな土の指標として、土の中にどのくらい微生物が存在しているかが大切だというものです。
有機農家は、堆肥や緑肥などを使い作物を育てています。堆肥などにはもちろん、窒素などの栄養分が含まれていますから、その栄養を作物が吸収することで成長することができます。しかし、堆肥は作物の栄養というよりも、土の中にいる微生物を増やすために畑に入れているという考えをもつ農家のほうが多いかもしれません。
ある大学の先生が、土の診断方法として微生物の数を一つの指標にする方法を考えました。微生物の数などを測定するのは料金的にも安くはないので、依頼したことはありませんが、どのくらいの微生物が土の中にいるのかを知りたいとは思います。
良質な堆肥を入れると、作物にとって良い微生物が増え、あまりよくないものを入れると、悪い微生物が増える、とも言われているので、良い堆肥を使うことが土を豊かにすることにつながる、ということです。
良い堆肥、悪い堆肥の判断は簡単ではありません。
堆肥の材料にしてもいろいろです。見た目は良くても、
材料として使われたものが?では、良い堆肥とは言えません。
堆肥のひとつである牛糞堆肥。発酵がしっかりとすすみ、アンモニア臭もしないものでも必ずしも良い、とは言えないものもあります。それは、敷材として建築廃材のおが屑を使っている場合もあるからです。建築廃材には防腐剤を使っているものもあるなど、薬品が残留している可能性がありますし、エサにも気を配る必要があります。抗生剤を多く使っている牛、遺伝子組み換えのエサを食べているものなど、堆肥として問題はなくても、有機農業としては疑問です。
結局、自分で確認できる材料で作った堆肥でないと、食べている方にきちんと説明することができないので、うちでは平飼いの鶏糞堆肥とオカラぼかしが主体の肥料となってしまいます。堆肥を含めて、いろいろな有機資材が販売されていますが、自分のところで賄える堆肥が一番安心できるのです。
これから暖かくなり、畑や田んぼにも、作物にとって良い虫や悪い虫が増えてきます。土の中は見えませんが、良い微生物が増えるように、良い堆肥を作っていきたいと思います。
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