畑情報
今週は立春、季節は本格的な春を迎えます。桜の蕾も少しずつ膨らみ、もしかすると今週末には花が咲き始めるかもしれません。31日に予定している鴨の会では、満開の桜が見ごろとなっているか、あるいは花が散り始めるころです。今度の鴨の会では、午後からになりますがミニコンサートも企画しています。よろしければお出かけください。
時間が進むのは本当に早いものだと感じます。先週の月曜日、3月11日は東日本大震災が発生した日でした。その時から8年、先週末に消防団の旅行で、福島県相馬市を訪ねました。市の観光課から2人の担当者が案内人として付いてくれ、防災倉庫や海岸の鎮魂記念館などを見学しました。
防災倉庫は海岸から8キロほど内陸に入ったところに建っており、市民3日間分の水、非常食、毛布や発電機などが備蓄されていました。ところどころ空いたスペースがありましたが、岡山や北海道などで発生した災害の救援物資として送った分ということでした。この倉庫に併設して、震災で亡くなった消防団員の慰霊碑もありました。用意していった花を献花し、亡くなった団員の冥福を祈りました。
震災が発生した時、消防団員は海岸に近い場所で水門を閉めたり、住民の避難誘導をしていたそうです。ひとりでも多くの人を助けようとして犠牲になった消防団は、そうま市で10名、福島、宮城、岩手全体では252名にのぼります。避難中に犠牲になったのではなく、消防団員として活動中に被害にあった人たちです。同じ消防団の一員として亡くなった団員たちの無念さを感じました。
鎮魂記念館では津波の映像を見せてもらいました。記念館に行く前に立ち寄った漁協の建物に津波が押し寄せる場面がありました。2階建ての建物を超える津波のすさまじさを実感しました。
この記念館は海岸近くにあり、そこからすぐのところには松川浦という潟湖で、海苔の養殖が盛んでした。津波で甚大な被害を受けましたが、少しずつ海苔も復活し、湖岸には旅館やホテルも開業しています。市の担当者の方も、泊りに来てもらうことが復興支援です、と言っていました。
福島は地震と津波、そしてもう一つ深刻な被害を受けているのが何かわかりますか?と担当の方が言いました。それは風評被害です。
米も魚も線量測定をし、基準値以下であるにもかかわらず、いまだに買いたたかれているのです、とも。
常磐道を北上し、福島に入ります。しばらくは山や海、民家が見える普通の風景が続きます。そして原発の被害を受けた地域に入っていくと、黒いフレコン袋が積まれた風景が見えるようになります。高速を走る車の中に除染土を運ぶダンプカーが目立つようになり、誰も住んでいないと見える家が点在していました。
8年という期間が過ぎても復興の入り口にもたどり着けない状況が福島にはまだあるということを実感しました。
日本有機農業研究会は毎年、全国大会を開催しています。場所は東京に限らず場所です。日本各地を会場にしています。今年は琵琶湖でした。来年は水俣で開きます。ここは水俣病の地です。豊かな海が汚染され、魚を食べた人たちが水俣病になり、差別を受けて苦しんだ場所です。水俣の翌年は福島が開催地です。ここも地震、津波、そして原発、風評被害に苦しんでいる場所です。有機農業は安心をもたらす農業です。でも、その安心を得るためには苦しんでいる人のことを避けてはいられません。公害の原点ともいえる水俣、そして、いまだに多くのひとが帰ることができない福島。私たちは原点をしっかりと見つめなおすことが必要だと思います。
さて、農作業も忙しくなってきました。トンネルをしなくても種まきができる季節になります。一方でまだ朝夕は冷え込むことがありますから、夏野菜の苗を育てるための温床は必要です。
踏み込み温床ではナスとピーマンの種が発芽しています。種類によってはだいぶしっかりしてきました。まだ発芽したばかりのものや種が顔を出したばかりの種類もあります。もう少しすると双葉の間から本葉がでてきます。本葉が大きくなってきたらポットへと植え替えをします。
2回目の踏み込み温床も先週末につくりました。今日、温度を測ってみると60度くらいまで上がっていました。数日後には40度くらいまでに下がり、温度も安定してくると思うので、そしたらトマトの種まきをします。その後は、3回目の踏み込みをし、キュウリやカボチャの種まきです。育苗ハウスもだんだんとにぎやかになります。
Kommentare