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かけだし情報1177

  • 執筆者の写真: Hiroaki Ehara
    Hiroaki Ehara
  • 2019年3月12日
  • 読了時間: 4分

畑情報

 3月も半ばになり、一雨ごとに暖かさが増していくようになりました。2月まではからからに乾いていた畑も、周期手的に降る雨によって十分なお湿りがある状態になっています。

 年度末の3月は、いろいろな活動をまとめる時期でもあり、報告書を準備したり、翌年度の予定について話をしたりと、農作業以外でも忙しくしています。雨が降り、畑の作業ができそうもないときにまとめて事務的な作業をしようと思うのですが、思うように進みません。あれも、これもと考えているうちに、どこかに取りこぼしがあったりと、さらにバタバタに拍車をかける事態となってしまいます。

 事務的な作業としてはやっかいな有機JAS認定の年次調査が先週行われました。時間がかかった申請書類を提出し、その書類をもとにした現地確認の調査に検査員の方が来られました。

 調査は野菜を育てている畑の状況の確認から始まりました。畑の調査では、有機の申請をしている畑の周りがどのような状況であるかも確認されます。例えば、隣で慣行栽培で野菜を作っているところや、家庭菜園などがある場合は、有機の畑との間に緩衝地帯と呼ばれるスペースを取ることが必要です。隣の畑が道路を挟んでいれば問題はありませんが、畔などで隣り合っている場合には、その緩衝地帯を自分の畑のなかに作る必要があるのです。

 その緩衝地帯の広さは、隣の畑の状況にもよりますが、おおよそ2mほどを空けるよう似ています。ただ、隣が果樹園だったりすると、果樹のむかって上方に農薬を散布することが多いため、2mでは農薬が飛んでくる可能性が高くなるため、広めのスペースが求められたます。

 検査の項目は、畑の状況のほかにも、機械の使用や管理の状況を確認したり、出荷をするさいに作業をする場所や、野菜などを貯蔵する場所の状況、特に有機のものが薬品で汚染されたりする心配がないか、また、慣行のものも育てている場合は、慣行と有機が混ざらないような広さがあるか、作業の手順は問題ないかということも確認されます。

 また、畑などで使っている堆肥や資材は、有機JASに適合しているかどうかも大きなポイントです。

有機農家でも、自分で堆肥を作っているという人は少なくなってきました。有機JAS制度が始まってからは、いろいろな企業が有機の資材を販売するようになりました。土壌の検査を奨励し、その結果に基づいて足りない成分を購入するような方法が増えています。

 もちろん、必要な成分を補給すると野菜も良く育つのですが、購入する肥料は決して安いものではなく、資材にかかる費用が高くなってしまうケースもでてきます。身近にあるものを利用して堆肥を作ることや、鶏などの家畜を飼いながら堆肥を作るという取り組みは、手間も技術も必要になりますから、そこを短縮したいと考えるのもわからなくはありません。

 話がずれましたが、有機JASの検査では、ほかに使っている種も確認します。基本的には、有機の種を使うことが求められていますが、今の日本では、有機の種ですべてを賄うことは難しいのが現状です。そのため、一般の交配種も使えることになっています。ただし、畑に植える苗については、種から育てることが必要です。苗を購入する有機農家はそれほど多くはありませんが、育苗中に苗が全滅することもあるので、そんな場合は特例として一般の苗を使うこともあるのです。

 ここまでは畑など現場の状況の確認です。現場の状況が終わると、次は記録書類を確認します。作業の記録をつけている農業日誌、収穫した野菜を記録した収穫記録、そして、有機JASのシールをどのくらい貼って出荷したかを記録したものが中心です。それぞれの記録が整合性があるかどうかを確認していきます。

 記録をつけることは翌年の作業をする場合にとても役に立ちます。いつ頃、どんな種まきをしたのかを振り返りながら作業ができるからです。忙しいときや、急に出かけることになった時など、つい忘れてしまうこともありますが、翌日にまとめて書くなどしています。

 年に一度の調査を受けないと、有機JAS認定を続けることができません。調査にはお金も結構かかること、記録類を適切につけることなど、大変なことも多いため有機農家でも有機JAS認定を受けていないケースも多いのが現状です。ただ、年に一度、それまでのやり方を振り返ることができ、また検査員として別の農家のやり方に触れる機会があることは、意義のあることだと思っています。調査の結果はまだですが、特に問題はないと思います。

 
 
 

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