畑情報
シーン1:ある満月の夜の鶏小屋
鶏A: こんなに月が明るいと眠くならないわ
鶏B: そうだよね。なんか気持ちもいいしね
鶏C: あれ、ドアが開いてない?
鶏B: ほんとだ。ちょっと外を散歩してみようよ
鶏たちは開いたドアから外に出ていきます。
鶏A: ねえ、雄たちも一緒に行こうよ
雄鶏: 外に出たら危ないって。この前から狸も
うろうろしてるし。
鶏B: もう意気地なし。すぐに戻ってくるから平気よ。みんなも一緒に散歩しよう!!
鶏A,B,Cに続き、外へ出る鶏たち
シーン2:畑
鶏C: 畑に来れば葉っぱがたくさんあると思ったけど、やっぱり寒いからないわね。
鶏A: でも土をかき回すと何かいるかも。
夢中で土をかき回す鶏たち。それを建物の陰から見ている物がいることには気が付かない。
鶏B: やっぱり外はいいよね。鶏小屋の中は狭いし、いつもいじめてくる一団も出てきていないし、自由って感じ!
鶏C: いつも食べてる餌も飽きたし、このまま外で暮らしたいよね。
その時、遠くからグェーという悲鳴が聞こえる。
鶏A: 何?何?今の声。林の方へ行ったみんなじゃない?
鶏C: ちょっとやばいかも。早く鶏小屋に戻った方がいいみたい。
鶏小屋の方へ引き返そうとする鶏A,B,C。でもその判断は遅すぎました。月明りで照らされた建物の陰から飛び出すものがあっという間にすぐ目の前にやってきました。
鶏A: みんな田んぼのほうへ逃げるのよ。
鶏C: 待って、待って。Bがいないのよ。
こんな会話があったかどうか定かではありませんが、先週の月がきれいね夜、鶏小屋のドアを閉めたつもりがフックのかけ方が弱かったのでしょう、鶏が15羽ほど逃げ出していました。ドアがきちんとしまっていなくて、朝、餌をあげようと鶏小屋にいくと、鶏小屋の周辺から竹藪、畑まで鶏たちが自由を満喫していることが時々起こります。その時は、朝の忙しい時間にも関わらず、鶏を追いかけては捕まえて鶏小屋に戻す作業をしなくてはなりません。
しかし、この日は全く違った光景でした。目に入ったのは、鶏小屋の近くに2羽、離れたところに3羽と、羽が周りに散乱している中で動かなくなっている鶏たちでした。夜に逃げ出したので、何羽の鶏が外にいるのかを把握できておらず、5羽が何かに襲われたのだとこの時は思っていました。
ところが、野菜を収穫しに畑に行くと、そこでも数羽の鶏が同じようになっており、さらに田んぼでもあちこちに同じ鶏たちがいました。その数、全部で15羽ほどでした。
今年は11月に入れたヒヨコが順調に育ってるから、こんな年は鶏小屋に狸が入ったりしてたくさん犠牲になるんだよね。と過去の嫌な出来事を思い出して、新しく鶏飼いを始める人に話をしたばかりでした。
まさか、こんな形で現実のものになるとは、その時は夢にも思っていませんでした。
結局、何が鶏を襲ったのかはわかりません。襲われた鶏はすべて首のところを咬まれていました。それが致命傷ですが、その傷以外は特に何も見当たりませんでした。何かの動物が1頭だけで襲ったにしては範囲が広すぎます。集団で狩りをしたような印象を持ちました。
去年の夏から合鴨が被害にあい、そして鶏です。今回のケースはあきらかにドアをしっかりと閉めていなかったために起こった不注意以外のなにものでもありません。〇〇したつもり、だったり、いつもの慣れで確認がおろそかになってしまいました。
よく鶏は3歩歩くと忘れるといわれます。でも実は鶏はとても賢く犬やイルカと同等の知恵を持っているそうです。カードを思えるという記憶力や、アルカードを選び出す能力もあるというのです。
本当は、3歩歩くと忘れてしまうのは自分だったのかもしれません。きっと鶏小屋の中で
「まったくすぐ忘れるんだから」と言ってそうです。
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