畑情報
今年の冬は例年よりも寒さが厳しいですが、先週末からは一段と冷たい空気に包まれています。今週の木曜日には雪の予報が出ています。まだブレがあるようですが、関東の内陸では10~20センチの積雪が予想されています。今年にはいってからまとまった雨がなかったので、乾いた空気が湿るのは良いのですが、大雪になると雪かきやハウスの雪下ろしが大変です。
大雪といえば平成26年豪雪と呼ばれた関東甲信越のことが思い出されます。2月の半ばに2週続けて30センチを超えるような雪が積もりました。最初の雪がまだ溶けないうちに次の大雪が降ったために、うちでもハウスや鶏小屋、納屋の軒や機械小屋などが被害を受けました。パイプハウスを使った鶏小屋や育苗ハウスなどがあるため、雪が屋根に積もったらこまめに雪を降ろすようにしていましたが、予想を超える雪の量と重さを想像することができなかったのです。
雪が降るのは嫌なことだけではありません。雪が何度か積もった年は野菜を食べる虫の被害が少なくなる傾向があるのす。虫たちは冬の間に石の下やコンクリートの隙間、樹木の樹皮の割れ目や土の中などで越冬をします。冬の寒さから身を守るにはどこで過ごせばよいかを知っているのです。冷たい北風が吹いても、住処にまではそれほど風も入り込まず、日差しによって暖かさを保つことができているのかもしれません。
でも雪が積もると虫たちがいるところまで入り込み、やがて凍結して数日間は溶けないことがあります。こうなると虫は寒さによって生き延びることができなくなるのです。ここ2~3年はそれほどの大雪にはなりませんでした。積もっても数センチほどだったので、日陰以外は早く雪が解け、虫に取ってもそれほどの影響はなかったようです。そのため、秋の白菜やキャベツなどの苗は植えた直後に虫によって食害が目立ちました。大雪は困りますが、虫の害も困ります。人間の都合にばかり合わせてくれないのが自然なので、雪が積もったらせっせと雪かきをするしかありません。
さて、昨年の4月から地域の農業委員を引き受けており、地域内の農地の状況を確認する機会が増えました。そこで感じるのは、農業の担い手の不足です。
この地域は、山間地の農業に比べると農家が耕作する土地の面積も広く、大型機械を使った農業がやりやすい土地柄です。そのため、田んぼを100ha近く作っている大規模農家や、それに近い広さの農地を管理して米や麦、大豆を作る大規模農家も存在します。
その一方で、高齢になったから、病気になってしまったからという理由で農業をやめる人も出てきています。その農家が広い田んぼを管理していると、その広さを誰が引き継ぐかが問題となり、結局は地域で大規模に農業をしている人が引き受けるということになるのです。
ただ、大規模に展開している農家も、今後10年したら引退する人もでてくるため、本当はその先も見据えた展開を考える必要があるのですが、なかなかそうはいきません。そこに追い打ちをかけるように、去年のお米の買い取り価格はとても安く、さらに、コロナの影響もあってか、肥料などの資材は値上がりをしています。こうなると農家が米を作るのは、
先祖からの土地をどうにかしないといけない、という使命感と、地域の景観を守るというボランティア精神です。
農家がやらないなら企業が農業に参入して米を作れるようにすればよい、という話が時々出てきますが、資材が高騰し、米の値段が安い現状では、いくら効率の良さを追求しても大きな利益を得ることは難しいです。大きな利益が見込まないところへ参入し、地域を守るという企業はどれほどいるのでしょうか?
そして、地域の農業がある特定の大規模農家や法人だけで行われるようになると、地域の多様性はなくなってしまいます。多様性がないところは地域として脆いものとなりかねません。このような時だからこそ、農家だけでなく、地域に住む様々な人、行政関係者などが未来の構想を話すような機会が必要な気がします。
このような農村の課題は日本だけに限られたものではありません。アフリカのタンザニアで農村の研究などをしていた方から電話があり、タンザニアの知り合いが有機農業に取り組みたいといっているので、いろいろ教えてと言われました。タンザニアの知り合いの方は自給的な農家になって、環境に配慮した暮らしをしたいのだそうです。環境と農業はどこでも必須の課題となっています。
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