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かけだし情報 1306

畑情報


 寒さが1年のなかでも厳しいこの時期、野菜の収穫を早朝にすることは難しくなっています。日の出後は畑が霜で真っ白になり、野菜の葉っぱも凍り付いてしまいます。そのため、前日の夕方に収穫を済ませることになり、翌朝に調整作業をしてからのお届けとなります。

アブラナ科の野菜たちは、日長時間が長くなってくると春を感じ取り、花を咲かせる準備へと向かいます。まだトウの立つまでには至りませんが、少し暖かくなってきたかな、と感じるころには黄色い菜の花が咲き始めることになります。厳しい寒さの中でも自然界では少しずつ春へと準備を進めるようになってきます。

 畑の準備では、今週くらいから温床を使った種まきを始めようと思っています。これまで温床は落ち葉と米ぬか、鶏糞堆肥などを踏み込んで作る「踏み込み温床」が中心でした。育苗ハウス内で踏み込み温床を作るのですが、ハウスの中とはいえ、特別な暖房設備もないために、踏み込みをするのは早くて2月の半ばでした。

 踏み込み温床は落ち葉が微生物によって分解されるときに出る発酵熱を利用しています。微生物が活発に動けるように環境を整えることが必要ですが、外気温に左右されることもあり、しっかりと発酵熱が出てくるのは3月の半ばごろからです。その年の天気にもよりますが、いつまでも寒さが続く年などは、温床の熱が上がらずに発芽が揃わないこともありました。

 そこで、昨年からヒヨコの育雛用のハウス内に簡易温床を作って、そこで早い種まきをすることにしました。この温床は90×180センチの電熱線の入った農電マットと呼ばれるものです。温度を一定に保てる農電サーモという器具と一緒に使います。

 

 それほど広いマットではないので、そこにおける育苗トレイも限られてしまいますが、温度が一定に保たれるので、発芽が揃うのが利点です。発芽し、ある程度まで育ったら苗をポットなどに植え替えて、育苗ハウス内で作る踏み込み温床へと移すことになります。1月中に種を播くのは、小松菜や水菜、キャベツやレタス類です。そして2月に入るとナスやピーマンなどの夏野菜の種まきです。まだ季節は冬の真っ只中ですが、今年の農作業が本格的に始まる前段階としての準備期間です。

 日曜日の夜、オンラインによる日本有機農業研究会の全国幹事会がありました。日本有機農業研究会は、今から50年前に設立された有機農家、消費者、研究者などからなる団体です。最近では会員の高齢化などにより会員数の減少もありますが、有機農業という言葉を最初に使い始めた全国組織です。

 全国各地の代表である幹事の人たちから、それぞれの地域の現状などの報告がありました。どこの地域でも共通しているのは、農家の高齢化による今後の展望が見えないということでした。それは有機農家であれ、慣行栽培で大規模に展開する農家でも同じです。まだ大都市圏の近くであるところは大きな消費地を抱えていますが、特に中山間地と呼ばれるところでは、地域が消滅してしまうのでは、という危機感を持っています。

 「みどり戦略」と言われる有機農業の拡大など、持続的な農業を進めていく方針は出されており、各地で有機米を学校給食へ取り入れる動きや、オーガニックビレッジという、有機農業を全面的に展開する市町村を作っていくことに手を上げようとする自治体もでています。

ただ、これから先、有機農業を含め、どのような環境保全型の農業を目指すのか、それによって農村や地域はどう維持されていくのか、というような明確なビジョンがみえていないという批判もでています。スマート農業や大規模化、効率化によって、人が少なくなっていく地域を守っていけるのかは疑問です。

日本有機農業研究会の会員も年を取ってきて、なかなか若い世代が入ってきていません。有機農業も単に安全な食べ物を育てるだけでなく、環境にも安全で優しい農業です。未来の環境を守るためにも、今からの動きが大切になってきます。


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