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かけだし情報 1297

畑情報


  今年の稲刈りが終わりました。9月の下旬に早生の稲刈りをしてから、間隔をあけて中生、晩生と進めてきました。それぞれの品種の面積は小さいのですが、特別栽培や有機などの作り方の違いもあって、

稲刈りをして乾燥し、籾すりをするという作業が続きました。

 稲刈りを終えた田んぼはトラクターで耕し、すぐに緑肥の種を播きました。田んぼの場所によってレンゲとヘアリーベッチのどちらかを動力散布機で播きました。10月の初めにまいた田んぼでは、レンゲやヘアリーベッチが発芽しています。家の前の合鴨農法の田んぼは週末に耕して種を播いたばかりなので、発芽してくるにはもう少し時間がかかりそうです。

 

  


 緑肥を田んぼに使うのは、化学肥料が普及するまでは普通の技術でした。特にレンゲは春先には当たり前に見かける景色であり、田んぼに窒素分を供給する大切なものでした。花の蜜を集めにやってくるミツバチを始め、多様な生き物が集まる場所にもなっていたのです。

 でも、化学肥料の普及によっていつの間にかレンゲなどの緑肥はなくなってしまいました。化学肥料のほうが生育に必要な窒素成分などを簡単に供給することが可能だからです。

 ここにきて流行りのSDGsなど環境に配慮した考え方や、石油の高騰による化学肥料の値上がり、コロナ禍による物流の停滞などもあって、緑肥を見直す動きが出てきそうな気配を感じます。先日も近所の大規模農家と話をしていると、これからは環境にやさしい農業を取り入れないとやっていけないようになる、と話していました。

 鴻巣市は名前のゆらいでもあるコウノトリの飼育を始めています。吹上地区にある荒川堤防のコスモスアリーナの隣に飼育施設があり、すでに2羽のつがいが来ています。一般公開は来年からの予定ですが、コウノトリが自然に帰る子を目指しており、そのためには周辺の環境を整えることが必要です。

 一時は全滅してしまった野生のコウノトリを復活させたのは兵庫県の豊岡市です。コウノトリは全国で見られた鳥でしたが、銃による乱獲、農地の圃場整備、河川改修による湿地の減少、農薬散布などが原因で1971年に絶滅しました。最後の1羽がいたのが豊岡市です。

 豊岡市では半世紀にわたりコウノトリを飼育し、今では100羽以上が野外で生育しています。コウノトリの郷公園でもは飼育中のコウノトリを見学することもでき、周りの田んぼは有機、特別栽培に転換して、コウノトリが野外で生育できる環境を整えています。私たちも何度かコウノトリの郷公園を訪れたことがありますが、野外で飛んでいるコウノトリを見ることもできました。

 豊岡市では、コウノトリを中心に、田んぼなどでの有機農業の取り組みをしたり、環境にやさしい活動をしている企業の誘致、環境教育やエコツーリズムなどをしながら、自然と経済が同時に回るように工夫した施策をとっています。コウノトリがいるというだけで急に環境が良くなるわけではありません。

環境を守るシンボルがコウノトリで、そこに多くの人がかかわっていけるような仕組みつくりがないと、そのあとの展開へとはつながりません。

 コウノトリの飼育施設の近くにうちの田んぼも2枚あります。去年もレンゲを播種したのですが、播いた時期が遅かったことなどもあり、田んぼの2割ほどしか花が咲きませんでした。今年は稲刈りをしてすぐに耕し、種も早めに播いたので、先日確認した時には発芽して双葉が出ているレンゲを確認しました。

 この後の生育がどうなるかはお天気次第かもしれませんが、春になって、レンゲの花が満開になっている田んぼが増えてくるようになれば、化学肥料を減らすこともでき、景観も良くなると思います。

 稲刈りが終わったばかりですが、来年の米つくりへ向けての最初の作業である秋耕と緑肥の種まきをしたことで、田んぼ関連の作業については一安心といったところです。


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