畑情報
ここ2週間ほど、かけだし情報をお届けできずにいました。使っているパソコンが突然動かなくなり、修理に出していました。当初の診断では基盤の故障ということでしたが、結局ディスプレイが壊れていたことがわかり、先日2週間ぶりに戻ってきました。
この2週間でお天気はすっかり変わってしまいました。お彼岸も過ぎ、昼の長さが少しずつ短くなり、日暮れも早く感じるようになりました。時々30度を超える日もありましたが、空気は秋の気配を感じることが多くなりました。
2週間前からの大きな変化は、稲刈りが始まったことでしょうか。すでに早生の品種であるキヌヒカリ、彩のきずなは稲刈りを終えました。今週の初めにはもち米の稲刈りをする予定です。
キヌヒカリは今年から違う田んぼで育てました。今までの田んぼで獲れたキヌヒカリは美味しいという評判だったので、場所を変えるのはどうかという気持ちがありました。でも、今年のお米を試食してみると、昨年よりも美味しいという印象です。田んぼに入れた肥料も昨年とは変えて、ミネラル分などが多いものを使ったことも影響しているかも知れません。
キヌヒカリの次に収穫したのは彩のきずなです。
キヌヒカリは特別栽培米で、除草剤を一度使っていますが、彩のきずなは有機の肥料と、農薬は不使用です。
2つの田んぼで育てましたが、一つは有機に変えて5年以上経過している田んぼです。もう一枚は今年から借りた田んぼで50aという広い田んぼです。こちらは
有機の肥料を入れ、農薬は使っていませんが、有機というには転換期間をまだ満たしてはいません。こちらも埼玉県の特別栽培米のお米です。
この田んぼはヒエが多くて苦労しました。生育途中にも何度も田んぼに入ってヒエ抜き作業をしましたが、気が付くと田んぼのあちこちにヒエが目立つようになりました。ヒエは稲よりお背丈が大きく、茎も太くなるため、稲の生育を大きく阻害しひえます。稲刈り作業も効率が悪く、一人がコンバインを動かし、刈り取ったところの近くにあるヒエを鎌で刈り取ることをしました。ちょうど30度を超える真夏日の時で、動くだけで汗びっしょりになり、腰も痛くなりました。
すべてのヒエを刈ることはできませんが、大きい株になってしまった背の高いヒエは少しは除くことができたかもしれません。
今年のコメの刈り取り価格ですが、コロナの影響で飲食店の営業ができない日が続いていることもあり、昨年のお米が在庫として大量に残っているとの理由で、去年より大幅に安くなりました。お米の品種や地域によって違いますが、ひどいところでは60キロの価格が去年よりも4000円以上も安くなっています。このことはあまりニュースなどでも報道されていませんが、規模の大小を問わず、米つくりをしている農家にとっては生活に大きな影響が出るほどの下落です。
お米はそれほど大儲けができるものではありません。米1俵を収穫するには、種代、肥料代、農薬代、機械の燃料費、機械の減価償却費などが必要です。機械もトラブルがあれば修理費もかかりますし、田んぼに使う水やポンプの使用量、それに借りている田んぼであればその借り賃もかかります。米だけで経営を成り立たたせようとするには、最低でも30ヘクタールほどの規模がないと無理だと言われています。
大規模農家や法人では人を雇う必要もありますから、人件費も大きな支出になります。小規模農家にとっては、米つくりに人件費を計上することは難しいため、人件費という面で考えれば、米つくりはボランティアということになってしまいます。それでも毎年、時期になると田植えをし、稲刈りをするのは、先祖から受け継いだ田んぼを守るという意識があることや、米が収穫できれば何が起こってもどうにか食べていけるという安心感があるからかもしれません。
去年、ガバレの田んぼはイモチ病や生育不良などもあって収量が減ってしまいした。去年のお米の残りがぎりぎりになっていたこともあり、今年の最初のお米を収穫し、籾すりをして玄米を袋詰めした時には、本当にほっとしました。どうにか食べるものを確保することができたという安心感があったからです。
米の価格が下がると、来年はもう米つくりはやめる、という農家は増えていくことでしょう。それも自分の食べるものは確保して、販売に回すものは作らないということになるかもしれません。そうでなくても自給率の低い日本です。コロナや異常気象などが頻発すれば、他国へ食糧を輸出するより自国を優先するのは当然です。気がつたときには、日本で米を作る農家が少なくなり、食べるものもない、という時代がくることも現実味を帯びてきそうな気がします。
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