畑情報
梅雨のあけた後の10日余りは厳しい暑さになるのが通常です。今年も梅雨が明けてからは連日35度近い最高気温の日が続いています。
今年の梅雨も後半になってから雨や曇りばかりの日が続きました。太陽が顔を出した日も数えるほどだった気がします。
雨が多いほうが生育が良い野菜もあれば、病気が出てしまう野菜、太陽が好きな野菜など、それぞれの野菜によって天気の具合によって生育や収量に影響がでてきます。水を必要とするのはきゅうりです。きゅうりの水分量は約９５％と言われています。その水分量をまかなうために梅雨の雨は最適です。空梅雨の年は定期的に散水してあげないと、実が曲がったり、成りがよくなかったりします。ただ、雨ばかりが続くと畑によっては根腐れを起こして枯死してしまったり、葉っぱに白い粉状のものがでるうどん粉病になったりするので、雨ばかりの年も良いことばかりとは言えません。
きゅうりは条件が良いとあっという間に大きく成長します。日本では割と細めのきゅうりが一般的ですが、葉っぱに隠れて見逃してしまったきゅうりは巨大化し、1本で1キロにもなってしまいます。最も、種を取るためにはそのくらいまでおいて起き、種が充実してから実をとるので、巨大化し、かつ色も黄色になってきます。私たちが日々食べている細いきゅうりは、成長段階でいうと子供と言えそうです。
雨が多いのを嫌うのはトマトが代表的なものでしょうか。ハウス栽培で極端に水を切った栽培をすると、一つの実は小さめですが、その分糖度が増すため、フルーツのようなトマトとして人気がでています。夏野菜の代表的な野菜でもあるトマトですが、あまり暑すぎるのは得意ではありません。気温が30度を超えると花は咲いても花粉を作ることができなくなって、実がつかなくなります。そのため、高温になる前に収穫をするような栽培が一般的ですが、そのころは雨の多い梅雨時期です。特に最近の傾向では7月前半に大雨となることが多く、ちょうどトマトが実をつけ熟すタイミングと重なります。雨よけ栽培としてトマトの支柱にビニールをかける栽培方法もありますが、雨が降り過ぎると土の中には水分がいっぱいで、トマトは水をたくさん吸収し、熟し始めた実の水分量が多くなりすぎて皮が裂けてしまいます。水分が多すぎると、成熟する前の青いうちから裂けているものもあって、こうなると商品にはなりません。特に最近は皮の薄いトマトが多くなり、裂果しやすくなっているかもしれません。
梅雨が明けると、猛暑の中にもかかわらず、あちらこちらから機械の音が聞こえてきます。農家が伸び放題になっている雑草の草刈り作業をしている音です。
梅雨の間は刈っても刈っても翌週には元に戻ったように草の勢いがすさまじく、梅雨が明けるのを皆待っていたのです。
雑草の生命力のたくましさはすごいの一言ですが、さすがに猛烈な太陽の下では梅雨時期と同じようにはいきません。一度刈っておくとすぐにからからに乾き、そのまま耕すことで秋冬野菜の栄養分にもなってくれます。ただ、背丈の高い草を刈り払い機で刈るだけではトラクターのロータリーに絡んでしまい、効率よく作業ができません。そこで役に立つ機会がハンマーモアという雑草を砕いてくれるものです。有機農家にとっては欲しい機械のひとつです。
草は農家にとっては仇のような存在です。少しでも草があると周りからだらしないと思われることや、虫たちの住みかとなって困るなど、まずは草のない畑を維持することが大事だと思っている農家はたくさんいます。有機農家でもきちんと草刈りをしている農家もたくさんいますが、雑草を仇とは思わず、土を肥やしてくれる存在として扱っている場合が多いのです。
それでも、草が延びていると周りから刈ったほうがいいよと言われることもあるので、そんな時にハンマモアがあると、刈り払い機を使って草刈りをする4分の1ほどの時間で作業ができますし、刈ったあともきれいな状態で、すぐに耕すこともできるのです。
これからの時期、真夏の太陽が容赦なく大地に降り注ぎます。土の表面は高温になり、水分はすぐに蒸発してしまいます。実はそんなときに役に立っているのが雑草です。雑草が地面を覆っていることで適度な水分が保持され、小さな虫たちは強い日差しを避けて休みこともできます。野菜にしても、雑草があることで過ごしやすい環境が整えられている場合もあります。雑草を目の敵にして土を露出させるのは、真夏に限ってはあまり良い策ではない気がしています。虫にも、草にも、そこに存在する意味はあると思うのですが、まだその意味にたどり着けないままです。
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