畑情報
沖縄に続いて九州などでも梅雨入りが発表されました。例年よりも早い梅雨となっていますが、関東も今週は曇りや雨の予報が多い週となっています。場合によっては関東でも梅雨入りとなるかもしれません。
ただ、鴻巣市付近では4月の半ばからまとまった雨が降っていません。雨雲は通り過ぎるものの、東京や千葉など南側に雨を降らせるだけです。一時的に降った雨で土の表面は濡れますが、それが中まで染み込むことはなく、強い日差しですぐに乾いてしまいます。
植え付けをしたナスやピーマンなどは水が少ないためにあまり生育をしていませんが、少しでもまとまった雨が降れば根をしっかりと張って成長もしていくはずです。
下の写真は9日に種を播いた稲の苗の様子です。一枚目の葉っぱが伸びてきて2枚目も顔を出し始めている状態です。
今年種を播いたのは全部で6品種です。苗箱の数は570枚、苗を育てる苗代に並べています。去年、種を水に浸ける時間が短い品種があり、発芽が揃わずに苗箱の半分ほどしか芽が出なかったものがありました。手で植えるのであれば大丈夫ですが、機械で植えるには箱一杯に苗が揃っているのが必要です。そのこともあって今年は水に浸けた種もみをしっかりと観察し、早く芽が出てきそうなものは早めに自ら取り出し、遅いものは他よりも1日ほど長めに水に浸けていました。
それでも芽が出るまでは心配でしたが、今年はどうにかきれいに芽が出そろい一安心です。芽が揃ったとはいえ、これから管理をしっかりしないと苗が伸びすぎたりします。田んぼに植えるまではまだ苗の様子を見ながら水を入れたりをしていきます。
さて、5月13日の日本農業新聞に、農水省が12日、「みどりの食料システム戦略」を正式決定したという記事が載っていました。このみどりの食料システム戦略というのは、農業の環境負荷軽減に向けた取り組みで50年までに温室効果ガス対策として、農林水産業の二酸化炭素排出量をゼロにすることや、有機農業を全耕地面積に25%に当たる100万ヘクタールに拡大すること、化学農薬の使用量を半減にし、化学肥料も3割減にすることなどが目標とされています。
また、JAも農家人口の減少により多様な人材を農業の現場に確保することを政策提案と決めるなど、これまでの規模拡大や効率化という路線から、もっと柔軟な対応をしていくようになってきています。今は、農業の担い手と言われるのは、地域の中で規模の大きな農家などが中心です。でもそれだけでは地域の農業を守ることは難しい現実があり、中規模や小規模、半農半Xなど多様な人材を担い手として農業の現場で活躍してもらう必要が出てきています。
みどりの食料システムにしろ、JAの政策提案にしろ、プランを立てただけで終わることがないようにすることが大事です。また、何が必要なのかを現場で動いている有機農家などからしっかりと学んでほしいと思っています。有機農業は単に農法というだけでなく、食べ方や暮らし方、地域や世界の人とのつながりの中で成り立つものです。技術の確立や研究も必要ですが、それ以外にも多くのことが関わっている多様な農業です。
環境への負荷を軽減すると言っても、すぐにいろいろなことが変わるとは言えません。これからの時期、雑草が目立ってきますが、それに合わせるようにホームセンターなどでは除草剤が山のように積まれています。道端にしろ、畑にしろ、結構な頻度で除草剤を撒いている人を見かけます。草が畑にあることは許せないという農家が多い中で、どのように散布を減らしていくのかの道筋が見えているとは思えません。
それでも国が環境への負荷を減らすということを宣言した意味は大きいと感じます。有機農業が日本で始まった1970年代は、有機農家は変わり者でした。それがある意味、時代の最先端を行く農家になってくるのです。まだ不透明なところは多いですが、有機農業に対する支援の広がりも含め、物事が動き始めてほしいと思っています。
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